“パンクの女王”Vivienne Westwood(ヴィヴィアン・ウエストウッド)について
MAGAZINE - 10.03.2022「伝統を持って未来を創る」イギリスを代表するブランド、VIVIENNE WESTWOOD
NUMBER 5(ナンバーファイブ)が取扱うブランドにVivienne Westwood(ヴィヴィアン・ウエストウッド)が加わります。
知れば知るほど本当に素晴らしいブランド。
バイイングが決定した日から今日まで、早く皆さまにお伝えしたくてたまりませんでした!
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出会いは2019年、
代表であり、チーフバイヤーでもある山城と次のドレスのバイイングについての打合せをしていた時でした。
いくつかブランドの候補を話している中で、
Vivienne Westwood(ヴィヴィアン・ウエストウッド)のルックに目を留め、
目をキラキラっとさせて、「これじゃない!?」と。
私の今までの経験で、山城がこのようなワクワクとした反応をすることはうまくいくことばかり。
このバイイングが素晴らしいものになる、と確信に繋がった瞬間でした。
そこからアプローチを何度かしましたが当初は少し難航、
でも、私にはあの山城の反応が忘れられずに
そして、ブランドのことを知れば知るほど魅力を感じ
なんとかバイイングができないかと諦めきれずにいた時
ある糸口を見つけて再アプローチ。
沢山の人にお力添えいただいたお陰様で、念願叶って皆さまにご紹介させていただけることになりました!
お力添えいただいた皆々様には本当に感謝の気持ちでいっぱいです…!
ぜひ皆さまにこのブランド、ドレスの素晴らしさの感動を伝えたいのでご紹介させてください。
私たちは主に、VIVIENNE WESTWOOD(ヴィヴィアン・ウェストウッド)の2022年ブライダルコレクションからバイイングしました。
立体的で変則的な動きのあるシルエットやファブリックから、「新たな始まりの感覚」を表現しているコレクションです。
ユニークなヴィヴィアン・ウェストウッドのパターンカット技術とファブリックは、
「別の世界から、女神のために彫刻された」雰囲気を作り出しており、
現代的なコルセットとレイヤードチュールで、コレクションに絵画的な要素をプラスしているそうです。
まずは到着したドレスのルックから。
▲”GRACE”
▲”LONG COCOTTE”
そして、全コレクションを見た中で、過去のコレクションから
私たちがとてもVivienneらしい!と一番ときめいたドレスを1デザイン、セレクトしました。
▲”BAGATELLE”(実物はルックと素材が異なり、マットなミカドのような素材です。)
ルックも素敵ですが、ドレスが届いて実物を見た瞬間、
「これは、やばい」
と全員が鳥肌が立つくらい、実物は想像よりもっともっと素晴らしいエネルギーを放つドレスでした。
生地もデザインもとても素敵。
でもそれだけじゃない、絶対に他にはない、
絶対に普通では真似ができない唯一無二感がとてつもないドレスたちなのです。
なぜなのか?
一体このエネルギーはどこからくるものなのか?
ブランドを知る過程で、Vivienne Westwoodの経歴が知れば知るほど面白く、その背景、彼女自身の思想が、つくるものに全て表れているんだということがわかりました。
デザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッドは、教師という肩書きから一転、
1970年代には“パンクの女王”の異名をとり、時代にセンセーションを起こしています。
当時から先駆者として時代を切り拓いてきた彼女は、当時とてもストリートで、
「既存の権力を切り崩したかった」
と、社会体制に反対するラディカルな思想をファッションに落とし込んでいました。
(確かにパンクのデザインは、わざと破れていたり、棘があったりと、そんなイメージがマッチします。)
センセーショナルを世界に起こした後、一転。
コレクションの発表をパリへ移し、アヴァンギャルドと歴史や伝統をミックスする独自の手法を取り入れるようになり、
この頃から「伝統を持って未来を創る」をものづくりのフィロソフィの一つにしています。
87年に発表された「コルセット」もヴィヴィアンの代名詞の一つ。
コルセットが中世から引きずっていた女性の行動を制限、抑制するイメージを払拭し、逆に女性本来の力やセクシュアリティを表現していると絶賛されたそうで、「自由の達成」と名付けられたそうです。
私たちがバイイングしたドレスたちにも、とてもヴィヴィアンらしい、このコルセットのデザインが用いられています。
▲”GRACE”
そして、美しいドレープ使い。
NUMBER 5のアトリエスタッフがヴィヴィアンの大ファンで、
ブランドの歴史やストーリーを沢山教えてくれたのですが
このドレープ使いも本当に、技術とセンスが卓越していなければできない、と話していました。
▲”LONG COCOTTE”
アトリエのスタッフが感動していたもう一つ。
マリーアントワネットの時代に着られていた
”ローブアラフランセーズ”というドレスの手法が本当にドレスにも使われているということ。
「こんなの教科書でしか見たことない」と、涙していました。
「伝統を持って未来を創る」
VIVIENNE本人のものづくりに対するフィロソフィーが嘘なく商品に行き渡っていて、なんて嘘のない、かっこいいブランドなんだと感激してしまいました。
これは内側にボリュームを出すような作りで、
“BAGATELLE”ドレスの、腰の立ち上がりをキープするために入れられているのですが、
チュールなどでボリュームを出す作りとは異なり、
クラシックな手法で作られた腰回りのギャザーの立ち上がり、実物は圧巻のオーラです。
完全に表からは見えない部分なのに…益々感動します。
一見ドレスらしい華やかさとエレガントさが目に入りますが、ひと匙のこだわりのディテールがものすごくかっこいい。
着る方にオーラを与えてくれる、すごいドレスです。
これまでも服にメッセージをこめてきたヴィヴィアン。
イギリス王室から「Dame(デイム)」と呼ばれる爵位を授与されるまでになり、
こんなに世界を代表する有名なブランドの一つになっても
このドレスのように表からは見えない部分にも関わらず、ドレス1点1点にこんなに丁寧なつくりがされていることに驚きます。
ブランドの揺るぎない想いやエネルギーに心からの敬意と、感動がありました。
少し話は逸れますが、ヴィヴィアン自身、今一番関心がある事柄が
「世界をどうすればより良い場所に変えられるのか?」ということ。
とりわけ環境問題に熱心に取り組んでおり、
届いたドレスのパッケージ、ドレスのカバー一切にプラスチックが使われておらず、そこにも感動がありました。
また、「世界をどうすればより良い場所に変えられるのか?」ということに対して、若者達に向けて
「情報が溢れているこの時代、自分で考え、真実を見極めなくてはならない。」
「アートは文化を生み出し、その文化こそがプロパガンダの解毒剤だ」
というメッセージも残しています。
後世に向けた、そのアートや文化を生み出す側の立場としての覚悟も、VIVIENNEのドレスに触れて更に感じました。
ここまで筋の通った、かっこいいデザイナーはいるでしょうか。
改めて、私たちが魂を込めてバイイングすることが誠実さの一つであり
エネルギーが込められたドレスを紹介することで
お客様自身が本来持つ個性を見つけるきっかけになるんだ、と、
今一度、私たちNUMBER 5(ナンバー・ファイブ)の存在意義も考えさせられるきっかけにもなりました。
「私は決めた。
この会社は好きなものしか売らない。
不幸にも当社は短期間で急成長し、私は拡大路線に疑問を抱いています。
私たちが作る最高のものを売りたい。
拡大じゃなくて顧客のハートを掴むものよ。」
ヴィヴィアンがドキュメンタリーの中で
世界中のバイヤー達を目の前にして語っていた言葉。
NUMBER 5にヴィヴィアンのドレスをバイイングできて本当によかった!
と、この言葉を聞いて思いました。
私たちは、本当に良いと思うものだけを買いたいし、
お客様に紹介をしたいからです。
心が込められた本物に、心が共鳴して動かされると思います。
過去のヴィヴィアンのルックですが、
こんなスタイリングも個人的にとても好きでした。
バサッとしたウェービーヘアに
ソックス+レースアップシューズや黒いパテントのシューズ。
本当に可愛い!
スカートの丈が合う身長のお客様がおられたら叶えてほしい!
と思いました。
まだまだ語り足りないヴィヴィアンのブランドやドレスの魅力。
ぜひ直接触れていただきたいです。
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お待ちしております!